私達が「かぜ」と呼んでいる病気は、正式名称を「かぜ症候群」といいます。かぜ症候群は、主にウイルス感染が原因となり、上気道(鼻腔から喉頭まで)に急性の炎症が起きる病気のことです。
炎症が起きている部位により、「鼻炎(びえん)」、「咽頭炎(いんとうえん)」、「喉頭炎(こうとうえん)」などと呼ばれることもあり、それぞれの症状も異なります。
かぜをこじらせたり、インフルエンザにかかると、気管支にまで炎症が広がることがあります。こうした「急性気管支炎」もかぜ症候群に含まれます。かぜ症候群の原因の80~90%はウイルス感染で、その他ではマイコプラズマ、クラミジア、細菌などが原因となります。
このように一言で「かぜ」といっても症状や原因は様々です。そのため総称名として「かぜ症候群」という病名が使われているわけです。医師に「かぜ症候群ですね」と言われると、難しい名前に戸惑うかもしれませんが、「かぜをひきましたね」という言葉と同じ意味なんですね。
大人とは違う!子どものかぜの特徴
子どもは体の機能が未熟で抵抗力が弱いためかぜをひきやすく、ひいた後も高熱や下痢などの全身症状が出てるなど、重症化しやすい傾向があり、特に生後6か月頃から3歳くらいまでは注意が必要です。
まれに高熱が出た時にひきつけを起こすこともあり、そんな時はあわてず衣服をゆるめ、嘔吐物が逆流しないように顔を横向きにして寝かせ、出来るだけ早くかかりつけ医に相談しましょう。
原因別かぜ症候群の諸症状と治療法
普通感冒
【原因】ウイルス(インフルエンザウイルスを除く)の感染により起こります。
【症状】くしゃみ、鼻水、咳、のどの痛み、熱(通常は微熱)がでます。
【治療】ウイルスに直接作用する薬はないため、症状を和らげるための薬を服用します。
インフルエンザ
【原因】インフルエンザウイルスの感染により起こります。普通感冒に比べ、強い全身症状が急激に現れます。
【症状】寒気、頭痛、筋肉痛、関節痛などの症状がみられます。突然の高熱で発病する事が多く、鼻水や咳、のどの痛みをともなうこともあります。
【治療】インフルエンザの症状を和らげるための薬を服用します。また、抗インフルエンザ薬を発病から48時間以内に服用または吸入することもあります。
マイコプラズマ感染症
【原因】肺炎マイコプラズマという微生物が感染して起こります。
【症状】熱は微熱から高熱まで幅があり、痰を伴わない頑固な咳が長く続くのが特徴です。
【治療】マクロライド系抗生物質が有効です。
クラミジア感染症
【原因】肺炎クラミジアという微生物が感染して起こります。
【症状】熱は出ても微熱程度で、乾いた咳が長く続くのが特徴です。
【症状】マイコプラズマと同様、マクロライド系抗生物質が有効です。
扁桃炎、咽頭炎
【原因】細菌の場合には主に溶連菌が関与しています。
【症状】高熱と強いのどの痛みがみられます。赤い発疹が出たり、舌にイチゴのようなブツブツがでたりすることもあります。
【症状】抗生物質が有効です。完全に治さないと後で腎炎やリウマチ熱といった合併症を起こすことがあるので、症状がなくなっても指定された期間は薬を服用しましょう。
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かぜ症候群の症状は、原因となる病原体が違ってもだいたい似ています。しかしインフルエンザに関しては感染拡大のスピードが早い上に、重症化するケースや合併症を引き起こす可能性が高いため、他のかぜ症候群とは区別するべきという声もあがっています。
子どものかぜに多い合併症
●中耳炎
中耳に細菌が感染し、炎症が起こる病気です。
症状:発熱、耳痛など
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●副鼻腔炎
鼻の周囲にある空洞の粘膜に細菌が感染し、炎症が起こる病気です。
症状:膿性(黄色っぽい)の鼻汁、咳、鼻の周囲や目の奥が痛い、など
●肺炎
肺に炎症が起こる病気です。
症状:高熱、痰、胸の痛みなど
●髄膜炎
かぜのウイルスや細菌が髄膜(脳や脊髄をおおっている膜)に感染し、炎症が起こる病気です。
症状:高熱、激しい頭痛、けいれんなど
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子どもは自分自身の症状を上手く伝えられません。ですのでこれらの合併症は、親御さんが注意してあげることで早期発見につながると思います。
子どもがかぜをひいた!こんな時には・・・
食欲がない時
脱水症状を防ぐために、まずは水分を十分にとりましょう。少し食欲がでてきたらお粥や煮込みうどん、野菜スープ、白身魚の煮物など、暖かくて栄養価が高く、消化の良い食事から始めましょう。また、ビタミン類(ビタミンCなど)を多く含む野菜や果物を積極的にとりましょう。
下痢をしている時
水分を補給し、脱水症状に気をつけましょう。下痢のときは水分の他にミネラルも排出されてしまいます。熱と下痢がひどいときは経口補水液を利用しても良いと思います。
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咳がひどい時
喉を保護するために湿度を保ち、水分を補給し、痰を出しやすい環境を作りましょう。
嘔吐している時
嘔吐後しばらくは食べ物や飲み物は控えましょう。吐き気が治まってきたら少量の水分をこまめに飲ませ、その後反応を見ながら少しずつ消化の良い食べ物を与えましょう。
熱が高い時
汗をかいたら拭くようにして、パジャマはこまめに変えてあげると良いですね。悪寒があるときも部屋の中は暑くしすぎないよう、気をつけましょう。体は熱を上げることでウイルスと戦っていますので、たとえ高熱でも元気があるようなら解熱剤の使用は控えましょう。
子どものかぜを予防するには・・・
●外から帰ったら、手洗い・うがい
手洗いをする事で接触感染のリスクを最小限に減らすことができます。そして、うがいでホコリや細菌を洗い流し、粘膜にウイルスが付着するのを予防します。
●かぜが流行っている時はマスクをつける
マスクをする事で喉を保護し、空気感染のリスクを最小限に減らせます。
●室内の温度や湿度に気をつける
空気が乾燥すると粘膜も乾燥し、免疫機能が低下してかぜに感染しやすくなります。かぜが流行しやすい冬の時期は、室内の温度は20~25度、湿度は60%前後に保つのが理想です。
●栄養バランスの良い食事を
バランスの良い食事は免疫力を高め、風邪をひきにくい体作りに効果的です。エネルギー源となる炭水化物の他に、肉や魚、大豆製品などのタンパク質、そして野菜や果物でビタミンやミネラルも摂取したいですね。
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世話をする親御さんも時間を取られ大変だと思いますが、こまめな対処が早期回復に繋がります。
普段とは違う親子のコミュニケーションが取れる良い機会と捉えていただき、親御さん自信の感染予防にも注意していただきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。